19

 翌朝、イルカ先生は眠い目を擦ってお弁当を作ってくれた。イルカ先生も疲れてるんだし別に良いよって遠慮したけど、少しでも里の修復も任務もなさるカカシ先生の役に立ちたいんですって言って作ってくれた。
 任務は簡単なものだったけど、それだけで通常の三倍やる気が出た。森を駆け抜ける足に力が漲り太陽はギラギラと燃え、小鳥は楽しげに明日に向かって羽ばたく! そんな感じ。その上、今日の俺は一味違うぜ?なんて口走りながら圧倒的な力差を見せつけ敵を殲滅しちゃう!……気分だったけど、残念ながら会敵はなかった。
 お昼にお弁当を広げると、玉子焼きにおにぎり、おやつのバナナと共に一枚のメモが入っていて、そこには「カカシ先生、今日はダブルベッドだから早く帰って来てね」という文字とハートマークが記されてあった。
 新婚みたい!
 もう絶対イルカ先生ってば俺に夢中なんだよ! 間違いないよ、うん。俺に夢中で俺のこと大好きで、俺とイチャイチャしたくて仕方ないの。本当は一秒たりとも俺と離れたくないの。全部無自覚だけど、そうに決まってるの! このまま俺とずっと一緒にいればもっともっと俺に夢中になって、俺がいないと寂しくて眠れなくなっちゃったりして、眠れない夜を幾つも過ごすうちにああ何で俺こんなにカカシ先生のことばかり…みたいになって、そんでその時になって漸く俺を好きだと自覚するんだ。
 そしたらあの無邪気な瞳が、恋する者の瞳に変わる。俺みたいに。
 絶対絶対イルカ先生を大切にする! その日が来るまで、その日が来ても、俺はイルカ先生だけに尽くしてみせる。イルカ先生が笑ってくれるように一杯楽しいことしてあげるし、イルカ先生が気持ち良くなるように一杯色々してあげる。今日も帰ったらダブルベッドで色々とあんなことやこんなことまで……。
 主に下半身の極一部が猛烈に漲ってしまったので俺はいつもよりも一層猫背になり、と言うか完全前屈み状態で任務をこなし、なかなか静まらない棒状の何かを隠し持ってる怪しげな人のまま里へと戻った。
「はたけカカシ、ただいま帰りました!」
 扉を開けるとイルカ先生が出迎えに来てくれる。
「おかえりなさいカカシ先生! ダブルベッド!」
 早く早くとその場で駆け足するイルカ先生が可愛くて思わずちゅーしたいけど、何はともあれダブルベッドが見たくて上忍の本気を出してサンダルを脱いで部屋に駆け込んだ。居間を抜けて寝室の扉を開く。
「ダブルベッド!」
 その堂々とした居住まい、床運動やズリ運動に適した大きさ、イルカ先生の部屋に全くそぐわない存在感、どことなく淫猥なダブルベッドという響き、何もかもかんぺきっ。
 俺は後からやって来たイルカ先生の手を取って、スプリングが利いたベッドの上に倒れこんだ。
「きゃーーーーっ」
「きゃーーーーっ」
 二人で足をバタバタさせてゴロゴロする。うっとりする。またバタバタする。フフフと笑う。
 ダブルベッド、それが斯くも俺を夢心地にさせるアイテムだったとは!
「ね、ね。イルカせんせ明日は早いの?」
「いえ、比較的ゆっくりできそうです。カカシ先生は?」
「俺、午後から上忍待機所に詰めるだけ」
 木ノ葉崩し以来初めての待機だった。待機とは名ばかりで、明日から任務漬けになるから今のうちに休んでおけって言う予告付きの事実上の休暇。
「じゃあ今日は」
 俺がニターと笑うと、イルカ先生もニコーとすけべな顔で笑う。
 俺達はあまりに忙しくて、帰っても倒れるように眠るだけの日々を送っていた。昨日は早めに終わったけど、イルカ先生は連日の疲れで帰宅後すぐに眠ってしまった。つまり、木ノ葉崩し以来俺達は睾丸に溜まった白い液体を勢い良く放出する行為を行っていなかったのである。つまり全然シコってなかった!
 そんでもって二人とも明日は比較的楽だということは、だ。
 決まってるでしょ! 何するかなんてもう完全に決定でしょ! ダブルベッド!
「メシどうする? 風呂は?」
「カップラーメンあります! 風呂は一緒にシャワー浴びて三秒で済ませましょう!」
 なんという気合い。俺達の熱いソウルが今宇宙を駆け巡り、融合してひとつの煌めく星になるのであります。
 上級オナニストの本気、とでも言えば良いのだろうか。その後の十分間はまさに嵐のようだった。まずイルカ先生がヤカンを火にかけ、沸騰する間に二人で風呂場に行く。イルカせんせと初めておふろ!とはしゃぐ間もなくあっという間に全裸になり、写輪眼のカカシの本気を出して二人の身体を泡だらけに。どりゃーーっと掛け声よろしく髪を洗い身体を洗い既に臨戦状態に入っているチンコを洗い、とりあえず全部流しとけ!的勢いでシャワーを全開にして泡を流す。風呂場から出ると風遁まで使って全身ドライヤーをかけ、真っ裸のまま台所に行って沸騰した湯をカップラーメンに注ぎ、通常三分待機のところを二分で喰った。しかも二人とも立ったまま。
「俺達、命がけでやる気出してるみたいですね!」
「だってその通りだもん!」
「ダブルベッドが来た今日という日に相応しい、記念碑的自慰行為をしましょう!」
「大賛成! 俺、めっちゃ頑張ります!」
 喰い終わるとそんなアホなことを言い合って、走って寝室に向かいダブルベッドに飛び込んだ。
 きゃーきゃー言いながら身体中に触れ合って、ガチガチに勃起した互いのチンコを見て変態だのドスケベだの言い合って、すっごく楽しい気分のままキスをした。
 唇を重ねてその感触を味わってから舌を入れ、口内を弄りながらイルカ先生の舌を自分の舌で撫でる。柔らかくて温かいイルカ先生のそれも積極的に俺の口の中に入り込んでくる。
 角度を変えてキスを続けながらイルカ先生の乳首にも触れる。優しく撫で回していると小さな乳首はすぐに硬くなって、イルカ先生はもっと強い刺激を求めるように胸を突きだしてきた。イルカ先生は結構乳首が感じる。だから望み通り俺はその乳首に軽く爪を立てて潰してやり、押さえたり引っ張ったり指の腹で捻ったりして楽しませてあげた。クニクニと指で沢山弄ってあげる。
「んんっ」
 鼻にかかったような可愛い声を上げながら、イルカ先生は俺のモノに自分のモノを擦りつけながら腰を揺すりはじめた。お互いの先端からぬるぬるした粘液が溢れていて滑りが良い。
「乳首弄ってあげるから、イルカせんせが手でしてくれる?」
 そう訊ねるとイルカ先生はコクコクと頷いて両手で俺のと自分のを纏めて包み込み、とろんとした顔で扱き始めた。
 片手で扱きながら片手でベトベトに濡れた先端を手の平で撫で回す。あまりに気持ち良くて乳首を強く潰してやったら、イルカ先生は蕩けそうな声を出して喘いだ。
「気持ちイイ?」
 しっとりと汗ばんできた身体が愛しくて、耳朶を噛んで囁いてあげる。
「ね、気持ちイイ?」
 セックスするみたいに腰を振って、裏スジを刺激しながら乳首を捻ってやる。
「あっあっ…」
 キスを強請ってる。唇を開けてたっぷりと濡れた舌を差し出してキスをして欲しいと強請ってる。だからその舌にむしゃぶりついて、思う存分舌を絡めてやった。唾液が溢れるくらいグチャグチャにしてやった。腰を振って乳首を弄って、息が止まるくらい激しくキスしてあげて。
「…ン、んんっ!」
 イルカ先生のくぐもった声と共に熱い飛沫が腹に飛んで、俺も射精する。久し振りだったから濃いのが一杯出た。
 ドロリとしたそれを手の平で掬って指に絡め、少しだけ舐めてみる。イルカ先生と俺のが混じったものは、匂いがキツクて味も濃厚で、俺はまたすぐに勃起した。
 溢れた唾液を啜るみたいにイルカ先生の口元から耳元を舐めて行く。そこから首に落ちて鎖骨を辿り、舌を這わせたまま胸元に行って最後に乳首を舐めた。
 イルカ先生の身体がピクリと反応する。
「うつ伏せになってお尻あげて? またよくしてあげるから」
 乳首に頬を寄せながらそう頼むと、イルカ先生は大人しく俺の言う通りにしてくれた。
 四つん這いになってお尻を高くあげ、俺の愛撫を待っているその姿は何よりも卑猥で可愛い。
 二人分の精子でベタついた手の平を拭うようにソコに擦りつけ、指を口に含んで唾液で濡らす。後口に指を当ててゆるゆると撫でてからゆっくりと挿れてあげると、一瞬だけ中がきゅっと締まった。
「力抜いてね。すぐによくなるから」
 そう宥めながら深く入り込んでいき、イルカ先生が好きな所をぐっと押し上げてやった。
「あ、そこっ」
 ビクンと身体を強張らせ頭を振って嫌がる素振りをしながらも、もっとして欲しいと言わんばかりにイルカ先生は尻を突きだしてきた。
 なんて可愛いんだろう。
「ん、大丈夫だよ。ここ一杯してあげるよ」
 そこを押す度にイルカ先生は乱れて行く。だから俺はそこを擦って、抉って、グリグリと一杯弄ってあげる。
 宣言通り一杯してあげて、指も増やしてあげて。
 セックスしてるみたいに指を前後に擦って。
 イルカ先生が甲高い声で鳴きながら気持ちイイ気持ちイイって言うから、可愛くてたまんなくて前も触ってあげたら、それはもうグチョグチョのベトベトになってて。
 後ろを強く擦りあげながら少し扱いてやっただけで、イルカ先生は猛烈にいやらしい声を上げながら射精した。
「まだするよ」
 俺はまだイってない。
 指を引き抜くと尻たぶを掴んで開き、ヒクヒクと蠢くそこに舌を這わせて舐めまわしてトロトロになってきた内部まで味わう。そこを思う存分堪能すると、足を持って身体を反転させ仰向けにする。
 それからイルカ先生のモノを、たっぷりとしゃぶった。
 イルカ先生がどこかの女にされている想像をしてたって良い。そんなの構わない。自分で蒔いた種だから。
 でもイルカ先生は絶対に俺のことが好きなんだ。本当は、気付いてないだけで俺のことが大好きなんだ。だから何でもさせてくれる。だから何でもしてあげたい。
 俺は飢えた獣みたいにそれを舐めまくって咥えまくって、お尻も責めまくってイルカ先生を悦ばせた。
 何度も何度も吐き出させて、自分でも扱いて何度も何度も射精した。
 可愛がり過ぎたのかイルカ先生は途中から暴れだした。だからその身体を押さえ付けて俺は淫行に耽った。
 この行為がセックスと何が違うのか、途中で分からなくなった。


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