ガラって扉が開く音がした。
今度こそ僕たちの番だよ。だってもう、みんなの親は来てるもの。今度こそ僕たちの番だよ。
意気込んで振り向いたら、ほらね?
ちゃんと、来てくれた。
僕たちのイルカ先生が、ちゃんと来てくれた。
息を切らして、駆け付けてくれたんだ。
「イルカせんせいだ!」
「イルカせんせい来た!」
僕たちが力一杯手を振ると、イルカ先生も力一杯手を振り返してくれる。本当は駆け寄ってイルカ先生に飛び付きたいけど、授業中だから僕たちはそれをぐっと我慢して、いっぱいいっぱい手を振る。その度にイルカ先生も手を振り返してくれる。僕たちを見詰めて、すっごく嬉しそうな顔をして。
何度も何度も振り返ってイルカ先生に手を振っていたら、僕と黒羽とイルカ先生は葉ノ紀先生に怒られちゃったんだ。
僕と黒羽は腕で互いを突き合ってクスクスと笑ったよ。ミキも後ろから僕の椅子をコンコンと蹴ってからかってくる。大輔は僕たちと同じくらい嬉しそうに「葉ノ紀先生に怒られたー」って笑ってる。
でも暫くすると僕たちは我慢できなくなって、やっぱり振り返っちゃう。
勿論イルカ先生は僕たちを、僕たちだけを見てるよ。
それで、僕と黒羽とイルカ先生はこっそりと、三人にしか分からないようにこっそりと、微笑み合うんだ。