二人でクスクスと笑いながらベッドへ向かう。ろくに髪を乾かすこともせず、身体には水滴が幾つも付いていた。
部屋の電気を消しながら歩き、寝室に入ると堪え切れないかのように二人は小さく噴き出す。喜びと嬉しさ、それにお互い若干の照れくささもあった。じゃれ合っているわけでもなく、寝室に入ってベッドを見ただけで笑ってしまうような妙な楽しさもある。
寝室の電気を消して先にイルカがベッドに横たわり、カカシがその横に滑り込む。
「カカシさん、勝負は一杯出しちゃった方が負けですか? それとも早く出ちゃった方が負け?」
「一杯出しちゃった方が負け」
良い?と訊ねると、イルカは自信ありげにニヤリと笑った。
イルカが余裕であればあるほどカカシの卑猥な計画は膨らむ。その余裕を崩すのが楽しみでならない。
「じゃ、お尻こっちに向けて跨って?」
イルカの唇に触れるだけのキスをしてからそう頼むと、イルカは目を細めてゆったりと微笑み身体の位置をカカシの望むように変えた。口淫に自信があるらしいイルカにしてみればそれは願ったり叶ったりの申し出だったに違いない。
始まりの合図を告げるようにイルカがカカシのペニスの先にちゅっと唇を押しつけたので、カカシも同じようにした。
温かいイルカの息が掛かり、先端に触れられたその唇がゆっくりと根元の方に落ちて行く。そして根元まで行くとそこをぺろりと舐められ、今度は舌を這わせて先端まで戻って来る。イルカは手でカカシのペニスを支えると、尿道口に硬くした舌先をぐりぐりと押し付けて、それから括れの部分まで一気に口に咥え込んだ。一度だけ音が鳴るほど強く吸い付き、括れの部分までを咥えたまま今度は舌を柔らかくして裏筋や括れの横側を丹念に舐め回す。
カカシはイルカの口淫に酔い痴れながら、単調な動きでイルカのペニスを舐め続けていた。ペニスのいたるところにちゅっと音が出るようにキスをし、ただ犬のようにペロペロと舐めるだけ。後口に中指を当ててやんわりと撫でてはいるものの、決して中には挿れない。
やる気があるのかと問い質されると困るので一度だけ口に咥えた。しかし大したことは何もせず、それなりに吸い付いては先端を舐めて薄らと滲み出た透明な汁を味わっただけだった。
イルカの口淫が激しくなる。喉の奥まで咥え、咥え切れない部分を手で激しく扱きだす。唾液をたっぷりと含んだ口内を窄ませ残った手で柔らかく睾丸を揉み、舌でペニスを舐めながら唇を上下させる。
カカシが射精の前兆を見せるとイルカは扱いていた手を更に早めた。イルカの舌技は確かに素晴らしく、しかも一度咥えると口からペニスを出さない。同じ男だから顎を休憩させるために口を離されるのが嫌だと分かっているのだろう。
カカシはイルカのペニスに頬擦りをして腰を突き出すと、小さく呻きながら精を吐き出した。ずっと勃起したままで待機し続けていたペニスはイルカの舌技にあっさりと解放を許す。
喉の奥に吐き出されたカカシの精子を全て飲みきったイルカは、漸く口を離して「一回目!」と嬉しそうに叫んだ。そしてすぐに続きをしようと唇を寄せる。
「ちょっと待ってよ。イルカ上手すぎるから、ちょっとハンデちょーだい」
「駄目です」
「ちょっとだけ。ね? 良いじゃないちょっとなら。ちょっとだけしたらまた口でやってもらうから。だからこっち来てよ」
お願い、と続けるとイルカがのそのそと身体の向きを変えた。唇を尖らせて「仕方ないなぁ」と嘯いてはいるものの、カカシを先に射精に導いた嬉しさは隠し切れていない。
「力抜いて」
隣に来たイルカの頬に口付けると、イルカは素直に全身から力を抜いた。
カカシはまず、その唇に指の腹を押し当てる。弾力を確かめるように軽く押さえ、一度離してから今度はとても優しく触れる。唇の端から端をその形を確かめるようになぞっていき、気が済むまで撫でると指を頬に移動する。目尻に移り耳の形に沿って触れ続け、指は首に落ちる。首だけは爪を立て少しだけ強めになぞっていくと、イルカは吐息を漏らして目を閉じた。
鎖骨まで行くとまた手を寝かせて指の腹で撫でる。ゆっくりと脇腹を通過させて腰骨まで行くと、来た道を辿るように脇腹に戻りそこから胸へ移った。そして小さな乳首の上で指を止める。
カカシはそこから動かさない。触れているのかいないのか分からない程の弱さでイルカの乳首の上に指を乗せたまま、ピクリとも動かさない。手の平も唇もどこもイルカの肌には触れず、ただそこに集中させる。
イルカが呼吸する度にその小さな尖りはカカシの指に押し当てられる。その度に強請るように固くなり、イルカの呼吸も少し早くなる。
イルカが息を吸い込み胸が上がるタイミングを見計らってカカシが指を上に押し上げた。それに合わせて乳首が上へと僅かに持ちあがる。
「……あ」
甘い声が出た。一瞬だけひくりと身体が硬直する。
「イルカ、力抜いて。力を入れたらダメ」
宥めるとイルカはまた力を抜く。そして唯一触れられているそこに意識を集中し出す。
カカシは素直なイルカに褒美をやるように乳首を優しく摘まんだ。指の腹で挟み込み、じんわりとした快感が広がるようにほんの少しだけ乳首を優しく捻る。それからイルカが少ない刺激で長く楽しめるように、色んな触れかたをし始めた。
押し上げてやる。摘まんでやる。捻ってやる。捏ねてやる。やんわりと潰してやる。
固くなった乳首で遊びながら空いている手でベッド脇から潤滑剤を取り出して口に挟み、蓋を開けて中身を取り出した。べっとりと手の平に出してそれを後口にぬりたくる。
後ろは強く撫で回した。そこが広がるように円を描き、まだ完全には解れていない状態のまま一本目を挿入する。それでももう何年もカカシを咥え込んでいるそこは、すぐに悦んでカカシの指を飲み込んだ。
カカシは中に入れた指でイルカが悦ぶ場所を擦る。指の腹で優しく、何度も何度も。
「んんっ」
まどろっこしい快感にイルカが焦れて身を捩ったが「力抜いて」と耳元で囁けばすぐにその通りにする。
カカシはイルカの内部を指で刺激しながら、しつこく乳首を弄んだ。
イルカは何よりも焦らされるセックスを好む。今日帰ってからも本当はカカシと同じくすぐにヤりたかったくせに、風呂に入りたいと言ってセックスを後回しにした。実際に風呂には入りたかったのだろうが、自分で自分を焦らしていたのも本当だ。イルカのセックスはカカシが帰った直後から始まっている。
それを知っているカカシは、時間をたっぷりとかけて愛撫する。力を抜かせればもったりとした刺激がイルカの全身を覆うのを知っている。カカシが触れている部分だけに意識が向き、そこだけが燃え上がるように熱くなっていくのを知っている。
時間をかけて乳首と後ろで遊んでやった後、カカシは何の予告もなしに悦ぶ箇所を強く押し上げた。息を詰めてイルカの背がしなったところで、乳首を弄っていた指を離してそれをイルカの後口に挿れてやる。
「ああ――!」
「イルカ好きだよねこれ。両指で遊ばれるの」
卑猥な笑みを浮かべてカカシが上半身を起こし、イルカの足の間に腰を下ろす。
良く見える。何もかも、イルカの淫らな部分が良く見える。
一本の指は引いて一本の指は押し入る。そうやってバラバラに動かせばイルカはすぐに自分の膝の裏を手で持って大きく腰を浮かばせた。
二本の指で中を左右に広げてやればもっと悦ぶ。好きな場所に当てたまま指を小刻みに震わせてやればそのペニスからだらだらと先走りを溢れさせる。奥まで挿れてぐちゃぐちゃとバラバラに掻き回してやれば高い声で鳴いて尻を揺らす。
三本目を挿れる頃にはそこは熱く熟れ、ペニスも先走りでべっとりと濡れていた。
「このままここで遊んだら、イルカすぐにイくよね」
クスリと笑い三本の指でぐっと奥を突いてやるとイルカは嬉しそうに内部をひくつかせたが、眉根を寄せて目を開けカカシを睨みつけた。
「カカシさん、ちょっとだけの…約束でしょ?」
「そうだよ。でももうちょっと」
「勝負なのに」
そう不平を漏らすイルカの目にはまだ理性が残っているが、それに少しずつ薄い膜が張ろうとしているのも分かった。
もっと楽しもう。
カカシは唇をぺろりと舐めてイルカの中を掻き混ぜ始める。中で暴れさせ左右に振ってぐちゃぐちゃにし左右の指を違うタイミングで出し入れする。押し入る悦びと出て行く快感を同時に与えてやる。イルカは特にそれが好きだ。
「ああ、もう、もう…もう」
中が収縮を始めたのでカカシは指を抜いた。イルカのペニスが大きく膨れ上がっている。
「俺の挿れるから」
「駄目! 挿れられたらもう……」
「なによ」
意地悪く問えばイルカは悔しそうに顔を逸らせた。
「だって」
「だって?」
クスクスと笑いながらカカシはそこにペニスを押し当てる。駄目だと言いながらイルカは足を開いたままで、後口をヒクつかせていた。
欲しくて欲しくてもう我慢できないとヒクついて訴えていたソコに、カカシはゆっくりと押し入って行く。
緩んだソコはとろとろに溶けてカカシのペニスに纏わり付き、嬉しがって震えていた。
すぐに根元まで挿れない。回りの肉が内部に巻き込まれていく様子をじっくりと楽しむように、ただただゆっくりと侵食していく。
イルカが甘えた声で泣きながら腰を振ったので、止めさせるためにその腰を両手で掴んだ。すると足を巻き付けて早く中に入れと引き寄せようとしたので、もっとゆっくり挿入してやった。
全てはカカシの思うままにできる。どれだけ焦らすのかもカカシの思いのままだった。
「…んぁ、アア……も、して。――して」
強請るイルカの口端から唾液が流れ出るのが楽しかった。早く中に入ってと腰に絡められた足の力が楽しかった。辛そうに身体を震わせ、それでも焦らされるのが堪らなく感じると訴えるイルカの身体が楽しかった。
たっぷりと中の蠕動を味わってから漸く根元まで挿入すると、次はイルカの腰をしっかりと掴んだまま大きくグラインドさせる。ペニスで内壁を隅々まで舐め取るように、ゆっくりと。
イルカはこうされるもの好きだ。どれだけ快感で身体を強張らせてもこうすればすぐに全身を弛緩させて悦び狂う。特に腰を掴んでねっとりと掻きまわしてやれば、カカシに拘束され好きなようにされる悦びに打ち震えてだらだらと涎を垂らす。
カカシは満足するまでイルカの内部を味わった後、その足を抱えて強く奥を抉った。
「――あぁッ!」
イルカは背をしならせ全身を硬直させぶるぶると震わせた。そのまま何度か突いてやればすぐに射精するだろう。
「もっとちょっと待って。俺もっと楽しみたいから」
カカシがそう言ってその膝の内側に口付けると、イルカの身体から余計な力が抜けた。長い時間をかけてカカシがイルカの身体にそう躾けたからだ。だがイルカも限界が近いようで、カカシがペニスを動かす度にビクビクとそこらじゅうを痙攣させた。
散々その身体で遊んで弄って楽しんでカカシが漸くイルカを射精させる頃になると、イルカの理性はほとんど残っていなかった。勃起すれば出すことしか考えられないカカシとは違い、イルカは泣き喚きながらも最後まで自分のペニスに触れずその執拗に粘っこいセックスを愉しんだ。イルカはいつもそうだ。決して自分でペニスに触れて射精しようとしない。
好きで好きで堪らないのだ。
焦らされるのが。
「一杯出したね。偉い偉い」
一度ペニスを抜いて唾液と涙と汗にまみれた顔を舌で舐め取りながら囁くと、イルカは嬉しそうに笑みを浮かべる。カカシに誉められて純粋に喜んでいる。
可愛くて可愛くてカカシはすぐにイルカの身体を弄り始めた。今度は手の平を使ってあちこち撫でまわしてやる。可愛い恋人の乳首に吸い付き舌で捏ね回せばカカシはまたすぐに勃起する。
イルカの足を大きく広げさせ、その腰を持って一気に突き入れてやった。
「あああっ!」
甲高い声で鳴き激しく身をくねらせるイルカを視姦しながら、何度もイルカの好きなところだけを狙って突き動かす。イルカのペニスもすぐに勃ちあがり、先走りを溢れさせた。
「ああ、勝負だったねぇ。イルカ、口でする?」
ペニスを奥まで突き入れ、そう訊ねながら腰を引くとイルカが慌てて足を絡ませてきた。
「いや!」
「でも俺もうハンデいらないし。これ抜いて口でし合おうか?」
先端だけ入っている状態で軽く腰を揺らすと、イルカが泣き出しそうに顔を歪ます。
「絶対駄目! カカシさん続けて」
「んー」
悩む振りをしながら腰を押し進めると内部がカカシを離すまいと強く締め付けてきた。
その締め付けに誘われてカカシはまたイルカのイイ部分を突き始める。
「あ、ん…んッ……ンぁあ」
「ねぇ、口じゃなくて良いの?」
「いい……これでいい…あ、もっと」
自ら乳首を弄り始め悦がり悶えるイルカにカカシまでもが涎を垂らしそうになった。
「すっごい眺め」
「もっと、もっとシテ…キモチイイこともっと」
「いつまで?」
問い掛けて腰を止めるとイルカが酷く暴れる。
「ずっと、ずっとこれして! ずっと――…ずっと!」
「リョーカイ」
カカシは満足げに笑ってからイルカを犯し始めた。イルカが望んだように、ずっと。
イルカに様々な格好をさせ、様々な言葉を言わせた。イルカの精液が色を無くすまで出させた。そうやってイルカが気を失うまでイルカが望んだようにずっと犯してやった。
失神する寸前にイルカは甲高い声で絶叫し、発情期の動物のようなその声にカカシはうっとりと聞き惚れた。