第2章 とてつもない疲労感・不吉な音

 6月に入り、物事は滞りなく……それは多分表面上だけなのだが、それでもやっぱり滞りなく過ぎていった。
 俺はヤケクソにならず、慌てず、真田から真夜中に電話がかかってきても「永司だったら飛行機作りにフランス行った」とガチャリンコしたり、機嫌の悪い暁生が飛び蹴り喰らわそうとしてくるのをサササッと避けたりしていた。その他にも、風呂に入ったり歯をみがいたりチーズを食べたり食器を洗ったりし、最近は教科書を開くこともあった。但し世紀末伝説でも始まりそうなほどの大爆発を起こした俺の性欲は、いつの間にかその形跡すら発見できぬほど完璧に失われている。
 つまり俺は、綺麗さっぱりと消え去った性欲を除けば男子高校生としてかなりまともな学校生活を送っているのだ。

 そんな滞りないある日の放課後、街の外れの裏道にある小さなカフェで俺は葉子さんを待っていた。先日葉子さんから連絡があったのだ。彼女から電話がかかってくること自体とても珍しいことだったので、いや初めてだったので、何か急用でもあるのかとこうして俺は待っているわけである。
 天気が良かったので窓際に座った。暖かみのある柔らかい黄色のテーブルクロスは清潔で、アイス珈琲は必要以上に苦くもなく薄くもなく、氷には匂いもなく、灰皿も全く汚れてない。その他にこのカフェはテーブルと椅子のセンスも良かった。デザインは気取ったところのない至ってシンプルなものなのだが、木の厚みと重みが心地が良いのだ。この店は、要はガタガタとグラツク上に気の利かない調味料とナプキンが俺のアパートの台所よりも狭いテーブルの端に頑強に居座っているわけではなく、コップの端に汚れがついているわけでもなく、ウェイトレスのお姉さんのエプロンが悲しくなるほど汚れているわけでもない店ということだ。至極簡単に分かりやすく言うと「葉子さんに選ばれた店」ということだ。
 右手にある曇りのないガラス窓から外を眺めると、傾いた陽射しが眩しく俺は目を細める。目の前の細い路地を少しキツそうだとも思える赤いタイトなスカートをはいた女性が同じように目を細め空を仰ぎつつ歩いているのが見え、女性が停めてある自転車にぶつかりそうになったところで、目の前の椅子を誰かが引いたのが視界の端に映る。視線をやると、以前はベリーショートだった髪をさり気なくカラーリングし、伸びた前髪を真っ直ぐに切りそろえている葉子さんが鞄を肩から下ろして椅子に座るところだった。
「髪型変えたんだね。似合うよぉ」
 にっこりとそう言うと、葉子さんもにっこりと笑った。
「随分久しぶりだね、深海君」
 葉子さんは今日も綺麗だった。この人は、初めて出会った日から今日まで、多分ずっとずっと前からこれからずっとずっと先まで綺麗なままの人だと思う。そういう種類の女性だと思う。毎日歯磨きした後にフロスを使って、クリーニング屋さんとは切っても切れない縁の生活を送って、毎日どこも汚れてない生地と仕立ての良いラインの綺麗なスーツを着て、頻繁に美容院に行って、いつも自然で完璧のメイクをして微笑んでいる。
 葉子さんもアイス珈琲を頼み、俺達は少しだけなんでもない話をした。例えば、うちの学校の裏庭に居着いてしまっている耳の遠い猫のこととか、近所の公園のブランコのペンキの話なんかを。
 そうしているうちに、葉子さんがいつの間にか俺を見ながら何か懐かしそうに目を細めていることに気付いた。俺は区切りの良い所でお喋りを止めて、アイス珈琲にぶっ刺さったストローをぺちゃんこにしてやろうとコソコソ噛んでいると、葉子さんがBGMで流れていた曲を口ずさむ。それは俺の知らない曲で、少し懐かしい感じのするメロディだった。

 分かってるくせに
 分かってるくせに
 キミは分かってるくせに
 言葉の反対側にある部屋の中
 指の先にある世界の裏側
 偏屈な僕はこうやってしか愛を語れない

「深海君の初恋の人ってどんな人?」
 サビを歌い終えると葉子さんは俺にそう訊ねた。
「初恋ってよく分からないんだ。大好きだって感じた初めての人間は母ちゃんと姉ちゃん」
「じゃあ、初めてセックスした人はどんな人だったの?」
「パティ・スミスみたいな人だったよ」
「ビコーズ・ザ・ナイトの?」
「そう。そのパティ・スミス」
「つまり、腋毛が生えてて髪の毛がぼさぼさな女の人?」
「そんな感じだったね。痩せてて、男モノの服をよく着てた。色んなものに馴染めずにいる人だけどとても強い人だった。素敵な女性だった」
 答えると、何故か葉子さんは少し寂しげに笑みを浮かべた。それから片肘をついて頬杖を突き、眩しそうに窓の外を眺める。
 そして、何だか何を見ているのか良く分からない目をした。
 短いスカートから伸びる脚がとても細いウェイトレスが、隅の空いている席の椅子の上に片膝をついて手を伸ばし、ブラインドを半分だけ下げた。
「私も、いつか深海君に『あの人は素敵な人だったよ』って言われるのかな」
 言うかもしれない。そうやって過去形にして葉子さんを語る日は来るかもしれない。
 葉子さんの視線は俺を通り越してまだ窓の外にむかっている。
「私は……いや、多分多くの女性は、ある時期が来ると『とてつもない疲労感』に襲われることがあるの。深海君を見つけた時もそうだった。私はあの日、とても疲れていたの」
 葉子さんはまだ外を見ている。
 俺はその時、夕日が照らす葉子さんの顔を見て初めてこの人の目じりと口もとに控えめな小皺があることを知った。それは年齢を感じさせない良い小皺だったが、俺の知らない葉子さんみたいに見えた。
「セックスしましょうって俺に声をかけた時?」
「そう。あの日、私はとても疲れていて。分かりやすく言うと……そうね。重い足を引き摺って家に帰ろうとしている雨の日、プラットホームで電車待ってるのに何故か電車が来ないのよ。いつまで経ってもいつまで待っても電車は来ない。ホームには私の他は誰もいなくて、私はずっとそこにいなくちゃならない。今日のやりきれない記憶はどれこれもロクなものじゃなくて、ひとつしかない蛍光灯はパシパシと音を立てて今にも切れそうで、足元にはムカデが這ってる。雨と湿気がじっとりと身体を包んで、すぐそこには光の届かない闇がねっとりと私を見つめている。それなのにどれだけ待っても電車は来ないのよ。気分的にそんな感じ。そういう時ってね、何をしても拭えないような腐りかけた悪臭がする疲労が襲ってくるの。その疲労の重さは量れないほどのもので、その疲労の深さはどこまでも続いている。
そんな時に私は深海君を見つけた。貴方は私にとって、臨時特急列車だった。それに乗りそこねたら次の駅に移動できそうにないと感じた私は、必死で貴方に飛び乗った」
 俺は葉子さんと出会った日のことを思い出していた。あの日は雨も雪も雹も霙も降りそうにないカラっとした良い天気で、俺に声をかけた葉子さんは今日と同じくラインの美しい、確か落ち着いた茶色のスーツとバッグを持っていた。そして、疲労感なんてまったく感じさせない表情で、ハッキリとした強い視線を持っていた。
「すぐさまセックスってのもなんだから、少し珈琲でも飲みましょうか」
 あの時の葉子さんの言葉を思い出し、口にする。そう、あの時葉子さんに付いて行き、俺は彼女と一緒にここでグレープフルーツジュースを飲んだ。
 葉子さんは少し笑った。だがその視線はまだ外に向けられている。
 俺はこの時になって、ようやく葉子さんが見ているモノが気になった。
「私、あの時そう言ったけど、本当はすぐにでもセックスしたかったわ。ここで珈琲を飲みながら、深海君とセックスすることばかり考えてた」
「あ、俺もぉ。ここでグレープフルーツジュース飲みながら、葉子さんのこと裸にすることばっか想像してた」
 二人でクスクスと笑う。でも葉子さんの視線はまだ外で俺はその視線の先を窺ったが、これと言って何もなく、細い路地にある店として相応しい楽器屋とか小物屋とか、通りすがりのお姉さんや女の子ちゃんとかがいるだけだった。でも葉子さんは随分遠くを見ている気がする。
「例えばあの大通りのあの大きな交差点、ほら、今青になったでしょう? 皆普通に渡ってる。多分私も深海君も。でもね、あの交差点を渡れない人がいるのよ」
 葉子さんの言葉につられ再度窓の外を見たが、ここから大通りの交差点は見ることが出来なかった。
「ケヤキ通りの交差点。私はあの道が好きだわ。深海君を見つけた場所だからね」
 言い終えると葉子さんがようやく俺を見た。ようやく。
 西日が葉子さんを照らし、綺麗に手入れされた爪が光ったのが見えた。外を眺めていた時とは違う強い視線、自信に満ち溢れた口元、若々しい肌。それは俺の知っている、俺とセックスをしていた葉子さんだ。
 その瞳は優しいけれど、でも誰も必要としてなくて、常に人を注意深く観察しているような瞳だ。以前も思ったが、それは少し砂上に似ている。
 多分これから先ずっと、この人はこんな瞳をしているのだろうと思う。
「私ね、結婚するかもしれないの」
「ん、おめでと」
 応えてから、これが今日の本題だったのかなと思った。
「俺の愛は無償の愛だから、見返りは求めない。なんて言う人よ」
 葉子さんが可笑しそうに笑う。
「へえ、凄いねぇ。俺、無償の愛なんてどんなもんか分かんねぇ」
「私も知らない。でも」
「でも?」
「でも私が一人でいることを……精神的にね、精神的に一人でい続けることを容認できる男ならば、結婚しても良いなと思ったのよ」
 俺は何となく、葉子さんはその人とは結婚しないと感じた。
「深海君も、恋人できたんでしょう?」
「あら? なんで? 分かる?」
 大袈裟に照れてみせると葉子さんが声をあげて笑う。
「もう深海君とはセックスできないのかな?」
「ん。そうだと思う」
 葉子さんは、ほお、と妙に感心し、目を細める。そして続ける。
「もう会えない?」
「え? そうなん?」
「縁があればまた、かな?」
「うん。電車が来ない時とか」
「もう電車が来ない日はないのよ。私は無理矢理電車を引き寄せて出発させる人生の裏技を開発したんだ」
 葉子さんは子供みたいに「にっ」と笑って立ち上がる。そして
「深海君を変えたそのお相手、ケヤキ通りの交差点で待ってるゾ」
 と、言い残して去っていった。
 俺は残ったアイス珈琲を飲み干し、立ち上がって葉子さんがいた席に座る。
 やっぱりケヤキ通りは見えなかった。
 しかし、そのケヤキ通りの交差点に行くと本当に永司がポツンと俺を待っていて、俺は永司の立派なストーカーっぷりに心底感心するばかりなのである。
「気付かなかった。お前の最近のストーキングはレベルが高いな!」
 俺はケラケラと笑い、交差点を2人で渡りきる。
 そして俺は振り返る。
 葉子さんはあの席からここを見ていたんだろうか。このケヤキ通りを。この永司を。
 それはこのケヤキ通りではないのかもしれない。俺が見ている永司ではないのかもしれない。
 あの日も見えないケヤキ通りを渡って、彼女は俺を見つけたのかもしれない。

 永司は俺をアパートまで送ってくれると、そのまますんなりと帰って行った。それはそれで良いような気がする。と、最近思う。
 鼻歌交じりでボロっちぃ階段をカンカンと上り、もぞもぞとジーンズのポッケから鍵を出してドアの鍵をあける。俺とアイツの金色の鍵が脳裏をよぎり、俺は失われた鍵のその意味をふと考える。
 10秒くらい考えてから、お隣さん家の壊れた洗濯機の向こうを覗き込んだ。
「よぉ〜」
 ランドセルを抱えた子供がいる。いると思ったんだ。
 今日もやっぱりシカトされたけど、俺は回りこんで子供の前にしゃがみこんで頭をぽむと撫でた。
「よぉ〜」
 やっぱり完璧シカト。
 子供は自分の身体をギリギリまで小さくして、ランドセルを抱えている。それは数学の藤沢に「前出てこの問題解け」って言われるのを怖がっている俺の三千倍は不安じみていた。ただその不安の原因は俺ではない。
「じゃんけんしようぜ!」
 と、俺は拳を前に突き出す。俺の素敵で唐突な申し出をもこの子供はシカトする。
 小学…3年か4年くらいに見える。短く切った髪は子供らしいと言うよりも少し貧乏くさく感じたが、それはその服装のせいでもあったかもしれない。黄色のTシャツはどうしようもなく色あせていて、襟元はヨレヨレ、ついでにチト汚れてる。ざっと見その他もそんな感じだ。
 ただし頑なに視線を落としているもののこの子の瞳は賢そうだ。
「じゃんけん!」
 もう一度拳を突き出したが当然のように無駄だった。
「鍵なくした?」
 今度は普通に訊いてみる。でも駄目。
 きっと鍵っ子が鍵をなくしたってわけじゃないとは思う。そういう独特の「しょぼくれ感」みたいなものはない。
「どした? 大丈夫か? じゃんけんでもするか? 家のひ……」
――ドアの向こうには誰もいない」
 突然口を開く。
 それは明らかに、自分の縄張りに入り込んだ侵入者に対する警戒音だった。
「ん、そっか」
 俺は素直にその警告に従い、少年の頭を少し撫でてから立ち上がった。放置された洗濯機の反対にある自分の部屋のドアを開け、そして最後にもう一度声をかける。
「風邪ひくなよ」
「うん」
 今度は拍子抜けするほど素直で可愛い返事が返って来た。
 部屋に入ると鞄を下ろし、俺は冷蔵庫からビールを取り出してベッドに座った。テレビをつけようとリモコンを手にした時、隣の部屋から物音がして思わず暫し耳をすます。
 うん、確かに誰かいる。お隣さんは誰か帰って来ているのだ。あの子以外の誰かが。
「ドアの向こうには誰もいない」
 あの子の言葉を口にし、俺はテレビをつけてビールを飲んだ。
 そして夜になると、俺は転がったビールの空き缶を眺めながら無償の愛ってものについて考える。

『どうした?』
 永司の低い声。
「今何時?」
『2時半』
 俺は目を閉じ深呼吸をし、目覚めてからベッド脇に転がっていた携帯を手にして時間も確かめずに咄嗟に永司に電話したことを告げる。永司は黙っている。そして俺も黙る。
 なんで急に電話をかけたのか、自分でもよく分からない。
 何か言おうとしていたことがあるのかもしれないと、目を閉じたまま頭の中を探っていると、何の脈絡もなく不意に姉ちゃんの顔が脳裏を過ぎる。それはまるで、テレビの砂嵐を眺めている最中に、一瞬だけ、幻のように現れた映像のようだった。俺は寝ぼけているのかもしれない。実際に頭が上手く働かず、身体はどんよりと重く、全ては混沌としている。
 素直に「寝ぼけていた」と謝ろうとした時、携帯にノイズが入る。小さな音だが、それはまるで黒く穢れた羽虫の大群のように不吉な音だ。
 ノイズが消えるのを待ったが、それはなかなか消えてくれない。ノイズは大きくも小さくもなく、そこにある。永司の隣にいるみたいに。
「お前、今どこにいんの?」
『寝室』
「誰かいるのか?」
『いない』
 永司は表情のない声で即答する。しかし浮気を隠そうとする男を嘲笑う意地の悪い女のように、そのノイズは音をあげて意思表示する。
「誰もいない?」
『いない』
 いない。誰もいない。永司はひとりでいる。
 例え俺が他の女を抱いたとしても、他の男を抱いたとしても、他の男に抱かれたとしても、永司は俺以外の人間を抱かない。永司は俺以外の人間とどうこうならない。それほど永司の意識は俺だけに向けられている。
 それは分かっている。
 俺は混沌とした夢から覚めようとするみたいにはっきりと目を開けて、上半身を起こす。
「寝ぼけてるみたいだ。夜中にごめん」
『大丈夫だ。起きてたし』 
「おやすみ」
『おやすみ、春樹』
 携帯を切ると、立ち上がって洗面所に行って歯を磨く。風呂は朝に入ることを決めたり、転がっているビールの空き缶を片付けたり、机の上を拭いたり、明日学校に持って行く音楽の選曲をしたりする。
 それらが終わると、電気を消してもう一度ベッドに入る。携帯の履歴を見てみると、さっき永司に電話をかけたことがそこにはちゃんと残っていた。
 俺は眠ろうと目を閉じる。
 永司の低い声。俺は永司の声がやたら好きだ。あの声とあの目がとてつもなく好きだ。あの声に反応する何かが自分のどこかに埋め込まれているとしか思えないほど、あの瞳には自分だけに働く何か特殊な仕掛けがあるとしか思えないほど、俺はあの声とあの瞳に異常に惹かれる。
 永司の声のことを考えながら眠りに落ちようとしていた時、俺はふと、さっきの永司の声は疲れている時の声だということに気付いた。眠りそうになっている意識を浮上させ、そのことについてもう一度注意深く記憶を探る。透明な皮に包まれた記憶の声を丁寧な作業でひとつひとつ剥がしていき、それを自分で作り変えないように用心しながら耳をすます。そして俺は気付く。永司の声は疲れていて、それを俺に気付かせないようにしている声だ。
 身体を起こし携帯を手にして少し悩む。携帯のディスプレイを爪でコツコツと叩き、それから電話をかけるという方を俺は選択する。
 3回コールして永司が出る。
「わきあがる感情はとても強い。その強い力は洗濯機みたいに中のものをかき混ぜて、しかも洗濯機自体をもガタガタと揺らす。プールがあった日の放課後に散々遊んで帰って来てくると、玄関に母ちゃんの靴がある。台所に行くだろ? したら珍しく早く帰って来てた母ちゃんが夕飯作ってて、『春樹おかえりー』って言う。台所はたまんなく良い匂いがしてる。そういうのとおんなじくらいの純粋な幸福感がその洗濯機の中にある。それと同時に、お前に対する純粋な怒りがある。俺には手が出せない深い森に自ら入り込み、出口は知ってるくせに断固として出てこないお前に対する怒りともどかしさがそこにはある。暗い森の前でぽつんと取り残されている辛さと悲しみが否応なくそこにある。そういうものが洗濯機みたいなものの中で、激しく渦を巻いている。
俺たちはきっといつまでも愛してるって気持ちを上手く言えないんだと思う。多分選ばれた……例えば詩人みたいな人にしかそういうのは言葉にできないものなんだと思う。でも大丈夫なんだ。何故ならお前は俺から離れないし、俺はお前の手を離さないから」
 一方的に喋り、一方的に携帯を切り、横になって目を閉じた。
 何も特別なことなんて言ってないのに、なんだか分からないけどドキドキしてた。





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